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オープンイノベーションが失敗に陥る3つのポイント

このような方は是非読んでみてください。

・オープンイノベーションが何か理解したい方

・ウィズ/アフターコロナ時代のオープンイノベーションの方向性が知りたい方

・オープンイノベーションの失敗理由を知りたい方

オープンイノベーションという言葉が一般化して久しいですが、オープンイノベーションとは何かを説明できる人は少ないのでしょうか。

今回は、オープンイノベーションの歴史から、その失敗事例までをオープンイノベーション支援を行っている、株式会社フィラメント代表取締役CEOの角勝氏に解説して頂きました。

角 勝 氏
株式会社フィラメント 代表取締役 CEO
2015年より新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業において事業開発の適任者の発掘、事業アイデア創発から事業化までを一気通貫でサポートしている。前職(公務員)時代から培った、さまざまな産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、必要な情報の注入やキーマンの紹介などを適切なタイミングで実行し、事業案のバリューと担当者のモチベーションを高め、事業成功率を向上させる独自の手法を確立。オープンイノベーションを目的化せず、事業開発を進めるための手法として実践、追求している。

※本記事は角氏が登壇したJMAマネジメント講演会「ウィズ&アフターコロナ時代に加速するオープンイノベーション~テレコラボ戦略~」の講演内容の一部をまとめたものです。

そもそもオープンイノベーションとは?

そもそもオープンイノベーションはどのような事柄を指すのででしょうか?

オープンイノベーション(英: open innovation, OI)とは、⾃社だけでなく他社や⼤学、地⽅⾃治体、社会起業家など異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組み合わせ、⾰新的なビジネスモデル、研究成果、製品開発、サービス開発、組織改⾰、⾏政改⾰、地域活性化、ソーシャルイノベーション等につなげるイノベーションの⽅法論である。(出典:Wikipedia)

つまり、様々なところと繋がり、イノベーションを起こすための”手段”ということです。

オープンイノベーションは時代に合わせて概念が変わってきています。ここでは具体的なオープンイノベーションの取り組みも交え、より詳しく説明していきます。

時代ごとのオープンイノベーション

そもそもオープンイノベーションは、2000年代にその概念が提唱され始めました。2000年代から2010年前半頃までのオープンイノベーションは、産学連携や技術の探索が主でした。それが2010年代の半ば頃から、概念が拡大し、大企業の社外連携活動全般を指すようになりました。具体的には下記のような事例があります。

・オープンイノベーションスペースの設置 (物理空間設置による取り組みの固定化)

・アイデアソンやハッカソン (単発型イベントベースでの取り組み)

・オープンイノベーションコンテスト&アクセラレーションプログラム(中期的取り組み)

しかしコロナ禍において、オープンイノベーションに更なる変化が生まれようとしています。

コロナ禍でオープンイベーションはどう変わるのか?


上記の通り、オープンイノベーションの概念は時代と共に変化していますが、ウィズコロナ&アフターコロナ時代にも新たな変化を迎えようとしています。

どう変化していくかを説明する前に、まずはその前提としてコロナ禍が企業活動全体にどのような影響を与えているのかを、ネガティブな側面とポジティブな側面の両方から整理していきます。

企業活動全体へのネガティブな影響

社内コミュニケーションのダウン

まず一つは社内コミュニケーションのダウン。コロナ禍により、テレワークが主流になったことにより、社内で何が起こっているのかが見えづらい状態になっています。

もっと言うと社員がどのような表情で働いてるのか、どのような感情で働いてるのかが、顔を合わせられないことにより把握することが難しくなりました。

このように、今までは少なくとも現場レベルにまで落とせば、誰かしら把握していると思えていた部分が見えなくなったことが大きな変化の一つです。

顧客接点の希薄化

二つ目は顧客接点の希薄化です。テレワークを始めてみて、現在行っているオンタイムのプロジェクトや仕事は、意外に問題なく出来るなと思っている人も多いと思います。

しかし、一歩引いてみるとオンタイムの仕事以外の情報が入ってきてないことに気付きます。

テレワークの場合、顧客とのコミュニケーションはオンラインミーティングやテキストコミュニケーションが前提になりますが、そうするとビジネス以外の世間話や雑談をする時間が極端に減ります。

例えば、オフラインのコミュニケーションなら受付まで迎いに来て頂き、そこから会議室までの道中に、色々な世間話をして、その中から将来のニーズを引き出していた方も少なくないと思います。

これにより商談やビジネスの見通しが付きにくい状況になっているのではないでしょうか?

工場型労働管理システムの崩壊

三つ目は工場型労働管理システムの崩壊です。工場型労働管理システムとは、一つのオフィスにまとめることにより、仕事の成果ではなく労働時間により管理する仕組みです。このシステムはテレワークだと全く機能しなくなります。

これら三点を整理すると、社内外のつながりの中で今までのインフォーマルなマネジメントが通用しなくなり、ビジネスとマネジメントが立ち行かなくなってきています。

これまで、コロナ禍によるマイナス影響といういわばピンチを紹介してきましたが、これは捉え方によってはチャンスとすることも出来ると考えています。そこでここからはコロナ禍におけるポジティブな影響を紹介していきます。

企業活動全体へのポジティブな影響

個人の自由の増大

一つ目は個人の自由の増大です。これはテレワーク により働く個人の自由が増えたということです。

オフィスの制約がなくなったことにより、場所・時間・周囲の制約から解放されるようになってきています。これにより、自由に生産性を追求できるようになりました。

さらにこの自由という言葉には「自ら考え自ら動く」という意味が内包されています。

2020年4月以降の自粛期間中には、自分で考えて動ける自律駆動型人材ほど成果を上がることが出来たため、今後は作業ベースではなく思考ベースの働き方が定着してくると考えられます。

デジタルシフトの進展

二つ目はデジタルシフトの進展です。コロナ禍はレガシーな領域に強烈に作用しました。

その結果、デジタル領域にマネーが流れていき、社会全体が「物理空間」に縛られない方向にシフトし、イベントがオンライン化したり、飲み会までもがオンライン化しました。

社会全体の開放性の高まり

三つ目は社会全体の開放性の高まりです。

一つ目で述べた通り、個人の自由が解放されましたが、これは会社単位ではなく社会全体の中で起こっています。これにより、会社と会社の垣根がなくなり、社会全体が繋がりやすい形に変容しています。

実際にイベントプラットフォームの『Peatix』によると、コロナ前はボリュームゾーンはイベントへの参加が半年〜1年に一回程度の人達だったのが、コロナ後には月に1,2回程度参加する人達にボリュームゾーンが移行したようです。

さらに以上の3つが同時に進行していく中で、社会全体の変化許容度も向上していったように思えます。具体的には、遅々として進まなかった行政のDXに対してデジタル庁が新設されたことが顕著かと思います。これは、危機に対応するための変化の必要性を社会全体が実感しただと考えています。

このような旧来型のビジネススタイルからの変革を企業活動に活かすためのコンセプトこそが、これからの時代のオープンイノベーションなのではないかと考えています。

なぜオープンイノベーションはうまくいかないのか?

これまでコロナ前、そしてウィズ&アフターコロナに関して説明しましたが、ここからはコロナ前のオープンイノベーションに関しての実態について紹介していきます。

コロナ前から各所でオープンイノベーションに関する様々な取り組みがなされていましたが、失敗に終わっているケースも少なくありません。下記ではそのような失敗に終わってしまう理由を3つに分けて紹介します。

本気でやるつもりのない「オープンイノベーションごっこ」

一つ目の理由は、そもそも会社や担当者が名目として取り組んでいるだけの場合です。例えば、人事異動でやってきた人が仕方なくオープンイノベーション”的な”活動をする場合などです。

上記のような場合は、本質的にはオープンイノベーションに興味はないので、数年後の異動までの間に成果としてカウントしやすい活動に終始してしまいます。また本気で会社を動かすということは考えていないため、外部からの信頼も蓄積されていきません。他には、株主対策としてオープンイノベーションの組織が建てられたりするケースもあります。

このような場合は、十分な予算や人員が割かれていないことが多いです。

縦割り組織によるオープンイノベーション⾃体の⽬的化

二つ目の理由は、トップダウンにより手段の目的化が起こってしまう場合です。

このようなケースでは、オープンイノベーション自体が目的となってしまい、それが本質追求の足かせになってしまいます。

具体的には、KPIをオープンイノベーション軸(例えば会った企業数や集めた名詞の数)に設定してしまったりします。上記のようなKPIが設定されると、それをこなすことに頭と時間を消耗してしまい、本気で取り組みたいと考えている部署と乖離が生まれて、社内で孤立化したりします。

オープンイノベーションに対する期待値と実態との乖離

三つ目は、期待と実態がずれてしまっている場合です。そもそも日本におけるオープンイノベーションの期待は、新規事業創出の手段として考えられています。

新規事業の難しさは、イノベーション、つまり既存の知を掛け合わせて新しい価値を生むことです。通常、新規事業開発のプロセスは、新規事業担当者が社内のアセットを外部の刺激につなぎ合わせてアイディアを作り、それを社内調整で事業化して、最終的には事業担当に移管していきます。

この新規事業の担当者には、社内アセットの熟知や外部刺激の摂取力、アイディア発想力や社内からの信頼が求めれるのですが、このようなスキルフルな人材は中々存在せず、希少です。

これがボトルネックになり、事業開発が進まないケースが多いです。

そのため社外を巻き込んで、関わる人を増やすことで進めていくという方針を撮っているのが日本のオープンイノベーションです。

ではオープンイノベーションでは、まず社内のアセットを外部に公開し、社外の提案者(多くはスタートアップ)を募集します。そして社外の提案者のアイディアを社内に持ち込んでいく形になるのですが、そもそも社内アセットの本質を理解出来ていないため、調整コストが非常に高くなってしまい、最終的な事業担当からも拒否されてしまうケースも少なくありません。

結果、新規事業開発人材不足のボトルネック解消策としてオープンイノベーションに期待していたが、内部調整コストが想定以上に高く、当初の期待と成果が解離してしまうケースが多くなります。

加えて上記により、更に予算や人員が削られ、ますます成果が出ないという悪循環になってしまうことも少なくありません。

まとめ

ここまで様々な観点からオープンイノベーションについて解説してきました。

次回はコロナを逆手にオンライン会議ツールを使い、自らつながり価値を産み出す、リモート時代の新しい共創のためのコミュニケーションについて紹介します。

コロナ禍により社会情勢が日々変わってきていますが、その中でオープンイノベーションの重要性は高まっています。是非本記事を参考にして頂ければと思います。

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