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三人のレンガ職人の寓話(続編)~ 組織で目的を共有することの意義

【経営の羅針盤 2021年11月】

以前、このコラム欄で、「3人のレンガ職人」の寓話をご紹介しました。

https://shikousakugo.jma.or.jp/work/improving-competitiveness2010

今回は、続編として、この寓話で描かれている状況を「集団」に発展させて、考えてみたいと思います。
まず、「3人のレンガ職人」の寓話を、筆者が集団バージョンにアレンジした内容をお読みください。

ある旅人が道を歩いていると、一組のレンガ職人集団がレンガを積んでいるところに出会った。
お互いに会話をすることもなく、無表情に、黙々とレンガを積んでいる。
旅人が、一人のレンガ職人に、「皆さんは、何をしているのですか?」と尋ねると、レンガ職人は、「見れば分かるでしょう。親方から指示されたとおり、レンガを積んでいるのです」
と答えた。

旅人が歩いていくと、別のレンガ職人集団に出会った。
必死にレンガを積んでいる職人がいれば、傍らに座って、休んでいる職人もいた。
旅人が、休んでいる職人に、「皆さんは、何をしているのですか?」と尋ねると、レンガ職人は、
「レンガで壁を作っているのさ。家族を養うためにな。今日、割り当てられたレンガを積めば、その分の報酬をもらえるのさ。オレはもう割り当て分を積み終わったから、休んでいるんだよ」
と答えた。

旅人がさらに歩いていくと、また別のレンガ職人集団に出会った。
職人たちは、作業をしておらず、何か話し合っているようだった。
旅人が近づいて、「何をしているのですか?」と尋ねると、レンガ職人たちは、「多くの人が集まる教会を作っているんですよ。どうしたら、もっと、素晴らしい教会になるのか、いま、みんなで相談していたところです。
さあ、みんな、仕事にかかろう!」と、目を輝かせながら答えた。

もともとの寓話は、教会をつくるという目的をもつことによって、一人の職人が、イキイキと仕事をすることができるという内容でした。

今回のように、この寓話を集団として捉えると、目的を共有することが、いかに大切であるかが伝わるのではないでしょうか。一人ひとりが働きがいを感じるだけではなく、お互いにアイデアを出し合い、協力して良い仕事ができるようになるのです。

このところ、企業のウェブサイトにも、わが社の「パーパス」を掲載する例をよく見かけます。自分たちは、社会や顧客に対して、どのような価値を生み出したいのか。KAIKA Awardsの審査委員会では、それは組織としての「志」であり、軸となる「志」がしっかりしていないと、組織はKAIKAしないといった議論がされています。

何を青臭いことを・・・と、お感じになられるかもしれません。しかし、前回のコラムでも触れた通り、日本能率協会が実施した調査によると、他社よりもイノベーション能力に優れている、あるいは、過去3年間の新製品・新サービスによる売上比率の高い企業では、「組織内で、自分たちが世の中にどう役立ちたいのかについて、日常的に会話がなされている」という傾向が高くなっていました。

また、日本能率協会が2021年度に実施した経営課題調査では、人材戦略の成果の高い企業において、「職場の日常の会話のなかで、自社の経営理念や存在意義(パーパス)について話し合われることが多い」という特長があることも確認できています。

時には、あえて積極的に青臭い話をすることが、企業が持続的に成長していくうえで、大切なことなのです。まずは、普段、一緒に働いている職場の「同志」と、自分たちの仕事の目的について、話し合ってみてはいかがでしょう。

 

■KAIKAについて
日本能率協会では、個人の成長・組織の活性化・組織の社会性を同時実現することにより、新たな価値を生み出すことができるという経営・組織づくりの考え方として、2012年から「KAIKA」を提唱しています。
(1)一人ひとりが自律的に考え、行動し、働きがいを感じる。
(2)組織のなかで、ミッションやビジョンが一貫して、互いの連携が深まり、新しいことに挑戦する。
(3)社会への感度を高め、社会に対して能動的に働きかける。
そのような経営の考え方の普及に取り組んでいます。

https://kaikaproject.net/

一般社団法人日本能率協会
KAIKA研究所 近田高志

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