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DXに関連する技術とは?

今回はDX(デジタル・トランスフォーメーション)の基礎知識や進め方について、イチから学びたい方のために、日本能率協会の「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進セミナー(オンライン)」で講師をつとめる高安篤史氏にコラムを寄稿いただきました。

このDXのコラム連載は、下記の様な流れで全9回にわたって進めていきます。

著者プロフィール

高安 篤史 氏
合同会社コンサランス 代表 / 中小企業診断士  

早稲田大学理工学部工業経営学科(プラントエンジニアリング、生産管理専攻) 卒業後、大手電機メーカーで20年以上に渡って組込みソフトウェア開発に携わり、プロジェクトマネージャ/ファームウェア開発部長を歴任。 IoTのビジネスモデル 構築に関するコンサルタントとしての実績 及び自身の経験から「真に現場で活躍できる人材」の育成に大きなこだわりを持ち、その実践的な手法は各方面より高い評価を得ている。
・情報処理技術者(プロジェクトマネージャ、応用情報技術者、セキュリティマネジメント)
・IoT検定制度委員会メンバー(委員会主査)
・2019年4月に書籍『知識ゼロからのIoT入門』が幻冬舎から発売
・2020年に共同執筆した「工場・製造プロセスへのIoT・AI導入と活用の仕方」が発売

日本能率協会主催「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進セミナー(オンライン)」では講師をつとめ、参加者が自社のDX推進レベルの理解と改善方法の検討ができるプログラムを提供している。

DXに関連する技術とは?

以前にIoT(Internet of Things)やAI(人工知能)活用の失敗は、技術視点になることによるものが多いと説明しました。ここで誤解が無いように確認しますが、これらの技術は重要で無いという意味ではありません。従来のITシステムの開発と異なり、特にDXでは、価値を創出するため、事業関係者やユーザ部門が自ら主体的に推進する必要があります。最終的な設計や具体化については、システム会社に任すこともありますが、最初の検討段階では実現可能かどうかの判断をするため、事業関係者やユーザ部門が技術を知っておく必要があります。これらのDXに関連する技術を知らないと、システム会社に丸投げすることになり、成果につながらないばかりか、莫大な費用が発生します。

DX/IoT(Internet of Things)/AI(人工知能)の関連技術とは

センサー:データを取得するポイントであり、温度、振動、流量など、多数のデータをセンシングする技術。一部、カメラなども含む

通信/ネットワーク:取得したデータを転送する技術。標準化が重要

ストレージ/データベース:データを蓄積/管理する技術。DX時代では画像や音声データなど非構造のデータ管理技術などが重要

分析/AI(人工知能):収集したデータを分析し、そこから知見を得る技術

VR(仮想現実)/AR(拡張現実):人が理解しやすいように見せる技術

クラウドコンピューティング(IoTプラットフォーム):IoTツール(取得したデータの蓄積や分析など)をインターネット経由で実現する技術

ロボット:作業の自動化や作業者をサポートする技術

その他の技術:スマホ/タブレット/ICタグ(RFID)/ビーコン/アプリケーション/ブロックチェーンなど

セキュリティ:言うまでも無く、「つながる世界」においては、「セキュリティ」技術は最重要になります

 

特に②の通信/ネットワークに関連する分野では、5G(第5世代移動通信方式)により、大きく社会自体が変わります。これらの技術を俯瞰して捉え、「データの有効利用」と合わせることで、新たな付加価値が必ず生まれます。これらの技術は、近年飛躍的に発展したことと、値段が大幅に安くなったことで、身近で使えるようになりました。例えば、機械学習などのライブラリーが豊富なPythonはフリー(つまりタダ)で使えますし(パソコンにインストールして動かせる)、クラウドコンピューティングで実現されているIoTプラットフォームもデータ量などによりますが、PoC(概念実証)では、コストゼロで使えることも多いです。

近年、学校教育でも、上記の④分析/AI(人工知能)に関連する項目で大きな方針の変化があります。具体的には、

小学校での「プログラミング」必須化

中学校/高校での「情報処理」の強化と必須化

高校でのAI(人工知能)の基礎となる数学(線形代数)などの強化

大学入試の共通テストでの「情報処理」必須化の流れ

大学での理系/文系の融合

などです。

しかしながら、現状では、「実践の課題解決には程遠い知識詰込み型の問題」、「教える側のスキルの問題」、「試験で点数を取るための内容」であり、英会話と同様になると言わざるを得ません。つまり、大学まで英語を学んでも、結局、英語での意思疎通はできないのと同じで、大学までこれらのデータ分析やAI(人工知能)の関連技術を学んでも、社会で実践的に使えるようにならないということです。少し補足しますが、これらの技術は全ての人に必要であり、理系の一部の研究者が使えるようになればいいというわけではありません。英会話でも一部の人は大学卒業レベルで十分コミュニケーションとれる人はいますし、上記のデータ分析技術も一部の学生は実践的に習得できる人もいますが、その一部のレベルでは、やはり諸外国に負けてしまいます。

また、実務でAI(人工知能)を活用する場合には、「AI(人工知能)のすごさ」「AI(人工知能)ではできないこと」を理解する必要があります。AI(人工知能)で無くなる仕事が多数発生するということを聞いたことがあるという人は多いでしょう。これは、AI(人工知能)に目的を設定し、データを学習させることにより、目的を達成するための論理を自ら考えてくれること(これを一般に「自律」と表現)で無くなる仕事が発生するという意味です。従来は、人が論理を考え、ソフトウェアなどで実現していました(これが「自動」の考え方です)。AI(人工知能)では、試行錯誤できる領域があれば「強化学習」という手法にて学習が進みますが、一般的にはデータを元にした学習でいろいろなことが可能になります。したがって、人間とは異なりひらめきのようなものはありません。しかしながら、「スピード」と「信頼性」に関しては、はるかにAI(人工知能)の方が人より勝っている場合があります。つまり、データを元に随時、論理を更新できるため、従来の人による自動論理の作成と「スピード」の違いが大きく、また、大量のデータを処理する大規模なソフトウェアの実現であればAI(人工知能)の方がはるかに「信頼性」は高いでしょう。

 

また、上記の⑦ロボットに関連する内容として、RPA(Robotic Process Automation)もDXに関連する技術です。製造業においても間接部門の自動化を考えると、このRPAツールをシステム会社や情報システム部門に依存すること無く、担当者自らが活用することが求められています。また、現在、世の中で利用されているRPAのほとんどは単なる自動化ですが、前述のAI(人工知能)と融合され最終的には自律したRPA(Robotic Process Automation)につながっていきます。

 

 

 


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