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〈コニカミノルタ×ZKTeco〉Withコロナ時代に加速するスマートシティへの移行

2020年12月21日

本記事は、コニカミノルタ松﨑 正年氏 × ZKTeco何 勲鵬氏が登壇したJMA GARAGEオンラインイベント「Withコロナ時代に加速するスマートシティへの移行~中国のスマートシティ事情~」のイベントレポートです。

国では新型コロナウイルス対応を機に都市のAI・ロボット化・スマートシティ化が急速に促進されています。

デジタル技術を生かした新たな都市づくりを日本政府も進める中、企業の持続的成長にむけて改革に挑んでこられたコニカミノルタ取締役会議長 松﨑 正年 氏と中国の北京大興空港で生体認証技術をベースにスマート化プロジェクトを手掛けたZKTeco 何 勲鵬(カ クンホウ)氏にお話をお聞きしました。

中国ZKTeco社は顔認証や静脈認証等の生体認証デバイスを提供する会社としてスタートしましたが、自らスマートキャンパス(スマートシティのミニ版)のプラットフォーマーとなることで、急成長を遂げています。病院、学校、新幹線、鉄道、ホテルと幅広い業態を対象に、ICT技術活用によるスマート化を実現しており、中国のスマートシティ情報に精通している企業です。

今回は、デバイスや機器を製造販売する事業構造から、それらを含め様々なIoT製品やネットとつながる新たな価値創造に事業転換してきた裏側を探り、成功のヒントを考察しました。

生体認証技術をベースにスマートキャンパスを手掛けるZKTecoの取組み

(何氏講演より)

本日は、ZKTecoの技術や製品、そしてスマートキャンパス(スマートシティのミニ版)が私たちの生活にもたらす利便性についてご紹介します。

25周年を迎えたZKTecoは、設立当初から生体認識、中でも静脈・指紋・顔認証に特化した研究開発を行ってきました。2005年までは10万人以下の生体認証に活用されてきましたが、2006年以降はディープラーニングの進展によって、より多くの人間を識別できるようになりました。2010年にはチップの計算能力の向上により、ZKTecoの技術がさらに活用されるようになりました。

Campus Security 2.0では、センサーによる入退出管理や来訪者管理、3.0では、データ活用やソフトウェアとの連携により、ある一定の未来が予測できるようになりました。

これらの実現には、センサー、ネットワークとインフラ設備、アプリケーションが不可欠です。最下層にセンサーがあり、その上にネットワークとインフラ設備があります。CPUがコストダウンしたことに加え、複雑な処理が可能になったことで、顔認識の確率は98%、文字の認識率は98%まで達しました。ZKTecoでは車のナンバープレートやモノの認識にも取り組んでいますが、ナンバープレートの認識率も99%以上になっています。

またコロナ禍において、検温設備の確率が97%となっており、混雑する場合でも一度に複数の人々に対応可能です。この検温設備を利用することで利便性を提供し、さらに人による誤作動の防止にも一役買っています。

次にネットワーク層では、取得した顔や車のナンバープレートなどのデータは、クラウドまたはローカルで処理できます。ローカルで識別するメリットは、プライバシーを守れること、識別のスピードが速いことが、クラウドで行うメリットはコストが低いことなどが挙げられます。

アプリケーションに関しては、入退場管理やオフィス用ソフトウェア、身分認証などの開発に10年以上取り組んでいます。

つづいて、これらの活用事例について説明します。まず、スマートキャンパスの入退場管理では入退室の権限を定義します。例えば、無理に(暴力的に)ドアを開けようとしているのか、それとも少し押しているだけなのかといったことや、設定エリアに不審者が侵入した場合などを識別でき、簡単に見つけられます。さらに、キャンパスをモデリングすることで、スタッフがいちいち周回しなくてもソフトウェアから内部を確認することもできます。

システムで使用されている製品には顔認証カメラなどのカメラ類がありますが、ZKTecoの製品は標準を満たしているだけではなく、消費者により多くの利便性を提供していることが特徴です。

システム導入に関するお客さまとの交渉時には、スマートキャンパスを利用することによって、どのような素晴らしい体験を提供できるのか、どれくらい効率化できるのかを伝えています。

最後に、技術開発には計算力だけではなくアルゴリズムが大変重要だと考えています。ZKTecoでは、中国とアメリカに指紋と静脈のアルゴリズムの研究センターを、中国とインドには顔認証アルゴリズムの研究開発するチームをそれぞれ置いて、技術開発に邁進しています。

スマートキャンパス事情の成功事例

(松﨑氏と何氏による対談)

松﨑氏:

何さん、ご説明ありがとうございました。日本でのスマートシティの取組みは地域単位で行われ、行政、民間それぞれが取り組み、データの利活用をする基盤を作った上で、ある年はエネルギー管理、ある年は生活者向けの情報サービスに取り組むなど、個別の事例を積み上げています。

日本の皆さんにとって、前回の徐さん(※1)が紹介してくださったような中国のスマートシティの事例はスケール感、スピード感で実感が沸かないかもしれません。

しかし、本日の何さんのお話は、特定の施設で特定の用途のセキュリティ、マネジメントソリューションでしたので、ビジネスの手法、社会への貢献度などが明確で、日本企業のスマートキャンパス、スマートシティに関心のある方にとっては身近な話題だったのではないでしょうか。

ZKTecoは生体認証の技術を持つ企業ですが、現在はソリューションプロバイダーとなっています。その間はどのようなビジネスモデルを行ってきたのでしょうか。

何氏:

ZKTecoはセンサーの研究開発に力を入れて発展してきましたが、同時にアプリケーション開発にも力を入れてきました。しかし、技術や顔認証、生体認証の確率も業界ではトップレベルではありませんでした。

ですが通院患者を記録している、ある病院のお客さまから、技術だけではなくシナリオに応じて適切なアプリケーションができるかどうかを求められました。それに対し、ある程度の確率とコストに見合ったアプリケーションを提案することで受注に至りました。このように多方面から進めることでZKTecoは徐々に発展してきたのです。

ZKTecoでは未来性のある技術ではなく、民間での活用、特に小規模での活用やビルの活用をメインに進めてきました。

また、ビジネスを拡大する中では「生き残る」ことは、大変重要です。ビジネスチャンスを逃がさないように「待つ」ということも生き残る上では大きなポイントだと考えています。1998年から2006年まではマーケットは成熟しておらず、プレイヤーも少数でした。その期間、ZKTecoはCPUとセンサーを研究開発していました。マーケットが大きくなるにつれ、2006年以降はセンサーに特化し、大規模ではなく、小・中規模をターゲットとして今日に至っています。

松﨑氏:

ZKTecoは日本支社を設立したということですが、日本ではどのようなビジネスを行うのでしょうか?

何氏:

現在は海外との渡航が難しい状況ですが、技術スタッフが代理店とともに事業を展開しています。いまは新型コロナ感染症に対応する製品が非常によく売れています。今後は研究開発スタッフも日本に派遣する予定です。

日本は100年以上の歴史を持つ企業が数多く存在しています。そこからヒントが得られるのではないかと考え支社を設立しました。

松﨑氏:

例えば、病院などでセキュリティソリューションを設置した場合、収集したデータはなるべく外に出したくないと考えるお客さまが多いと思います。こうしたニーズには適切に対応できるのでしょうか?

何氏:

アメリカ、中国、ブラジルではデータの安全性を守るための法律が制定されています。守るべきデータは市民の安全性を確保するもの、開示すべきデータは主にデジタル世界を構築するものと法律では考えられています。

ZKTecoでは、お客さまに十分な予算がある場合は開示しないローカルのものをお勧めしています。また、お客さまにおける自社クラウド構築の提案や、データを守るためのさまざまな対策を取っています。

松﨑氏:

中国のスマートシティに関する質問ですが、深圳のような都市がスマートシティを構築していく上で、例えばドローンやロボットを活用する場合の運用上の工夫など、ご存じでしたら教えてください。

日本ではさまざまな制約があり、データを取りたくても、ドローンを勝手に飛ばしてはいけないといったことがあるため、参考としてお伺いしています。

何氏:

中国では政府が科学技術だけでなく、農業、経済、生活に対して5年計画を立てています。都市の状況に応じて、例えば深圳は技術と金融をメインに発展させるといった計画のもと、行政管理または都市管理の計画を策定します。

例えば、ある地方政府では、市役所に出向かないと証明書を取得できないという課題をインターネットで実現させる計画がありました。5年計画での決定事項に取り組む上で、目標を実現するためのドローンの導入やロボットの利用に関しては、企業側から提案します。政府はデジタル中国を構築していますが、運営は民間企業に任せているのです。

松﨑氏:

本日は生体認証技術をセキュリティソリューションとして提供する事例をご紹介いただきました。ZKTecoでは、お客さまの求めるものを提供できるよう対応し、大きなシステムではなく小さな規模のお客さまをターゲットとしているとのことでした。

お客さまのターゲットをどこに置くのか、何を自分の得意分野とするのかといった戦略を練った上で、お客さまの求めているソリューションを提供していけば、ビジネスチャンスは十分にあると考えています。

とはいえ、それぞれの国・地域には、それぞれの特別の事情やレギュレーションがあるため、前回の徐さんもおっしゃっていたように、現地のパートナーと組む必要があるのではないかと考えています。

日本企業はデジタル時代にどのようなビジネスモデルを構築していけばいいのか

(松﨑氏講話)

何さんのお話は、日本におけるスマートシティや特定用のスマートソリューションに関心のある方にとっては、とても参考になったのではないでしょうか。

ZKTecoのようにもともと生体認証の技術を持つ企業が、競争力のあるデバイスをビジネスとして展開し、それだけにとどまらず、セキュリティソリューションを効率的に提供できるようにしていること、またさまざまなニーズに応えられるように構築した上でソリューションプロバイダーになっていることも参考になったのではないかと思います。

ZKTecoの事例は、デジタル時代に私たち日本企業はどのようなビジネスモデルを構築していけばいいのかという課題への大きなヒントになったのではないでしょうか。

当社も含めて、大きな示唆を与えていただきました。そうした意味でも非常に有益な時間を過ごさせていただきました。

※1:「経営トップ対談 Withコロナ時代に加速するスマートシティへの移行 ~中国のスマートシティ事情~」コニカミノルタ 松﨑正年氏×IngDanJapan 徐 国宇氏

Withコロナ時代に加速するスマートシティへの移行~中国のスマートシティ事情~|イベントレポート



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